以前は”成人を迎えて以降は、一日に必要なたんぱく質量は変わらない”と考えられていましたが、近年では年齢が高くなるほどより多くのたんぱく質が筋肉の維持に必要であることがわかってきました。歳を重ねるにつれて、今ある筋肉を維持することは日々生活する上でとても大切です。筋肉を維持、増加させるために日頃から行う運動はその日の気分を上げたり、安眠をもたらしたり、ストレスマネージメントをサポートしたり、バランスを整えたりするのにも役立ちます。

加齢による筋力の低下
50歳を過ぎるとほとんどの人は筋力の低下を自覚します。全身の筋肉量は毎年平均して約0.5%~2%減少します。筋力の低下の理由の一つは筋肉を使わなくなることです。若い頃に比べてハードな運動をしなくなり、筋肉を使う頻度も減るため筋力が低下します。また加齢とともに身体が筋肉を作る機能も衰えてきます。
それでもウエイトトレーニングをしてたんぱく質を十分に摂ることで筋力の低下を最小限に抑えることはできます。筋肉を作るにはたんぱく質が必要ですが、ウエイトトレーニングをすることでその効率が上がります。

年齢が高いほど多くのたんぱく質が必要
食生活や日常の運動がどのように身体に影響し筋肉が作られているか、筋たんぱく質合成(MPS:Muscle Protein Synthesis)について研究が行われています。必要たんぱく質量は体重、体組成、運動量、年齢などによって異なりますが、年齢の高い人が最大限のMPSレベルに到達するには、若い頃よりも良質なたんぱく質の摂取が必要とされています。

アメリカン・ジャーナル・オブ・フィジオロジーに掲載された研究では、52~75歳の被験者20名を無作為に選び、4日間一方のグループには一日に必要なたんぱく質(体重1kgに対して0.8g)を与え、他方のグループにはその倍の量を与えました1)。その結果、倍の量のたんぱく質を摂ったグループはMPSレベルが上がっていました。また、たんぱく質を摂取するタイミングもMPSに影響を与えることがわかりました。多くの人は夕食では十分にたんぱく質が摂れているのに対し、朝食と昼食では十分なたんぱく質が摂れていません。ある研究によると、一日を通してバランス良くたんぱく質を摂った方が筋肉の合成が促進されることが分かっています。年齢の高い人は一食に約30gのたんぱく質を摂るとよいとされています2)

シニア世代は食生活にたんぱく質が足りていない
頑張ってアクティブに過ごしても、日常にウエイトトレーニングを取り入れても、十分なたんぱく質が摂れていなければ筋肉を作ることができません。年齢を重ねると代謝と運動量の両方が下がるため、必要なカロリー数も減ります。多くの人は体重の増加を防ぐために食べる量を減らしますが、食べ物は慎重に選ぶ必要があります。カロリーを減らそうとしてたんぱく質の摂取量も減らしてしまうことがあります。

シニア世代がどのようなものからカロリーをとっているかを見てみると、たんぱく質は決して多くないことがわかります。70歳以上の人が摂取している食品のトップ10は、パン、ケーキ、クッキー、ポテト、アイスクリーム、シリアル、パイ、ソフトドリンクなどとなっています。これらを合わせると全体の摂取カロリーの約20%を占めています。
摂取カロリーをコントロールしながら十分なたんぱく質を摂るには食べ物を慎重に選ぶ必要があります。精製された糖質や甘いものをカットするなど一般的なダイエット方法はその第一歩としてとても良いと思います。そこから先はいかにたんぱく質が豊富でカロリーが少ないものを選んでいくかが鍵となるでしょう。

1)Kim et al. Am J Physiol 2015 308:E21.
2)Phillips SM. Sports Med 2014 441:S71.

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スーザン・ボワーマン
ハーバライフ・ニュートリションの栄養トレーニングのディレクター。管理栄養士であり、スポーツ栄養学を専門とした有資格者。